「危機下の憲法記念日 平和主義の議論深めたい」〈第25回〉

毎日新聞「社説」、「余禄」など 毎日新聞朝刊(大阪本社)2022/5/3

 憲法記念日 各地では、護憲、改憲を訴える団体がそれぞれ街頭集会などをひらいて主張が繰り広げられている。
 憲法の改正については、国民の関心が高まり、国民的議論が広まることは大変良いことだと思う。しかし、ロシアのウクライナ侵攻を取り上げて今すぐにでも改憲が必要だという議論や、護憲か改憲かといった分断を迫るような議論は避けなければいけないと考えている。

 憲法記念日の新聞の「社説」の論点は、「現実を理想に近づける」と「「人道」の視点を大切に」の2点であった。

 「現実を理想に近づける」ための方法としては、次の3点が提示されていた。
  1 安全保障の総合力を高めること。(防衛力だけでなく、外交、経済、文化、人的交流など)
  2 アジア安保対話の枠組みを作る努力をすること。(米中、インド、韓国、ASEANなどが意思疎通する場)
  3 平和とルールを重視する国際世論を醸成する取り組み。(憲法前文:「平和を愛する諸国民の公正と信義」を再確認する時)

 日本国憲法は、「戦争の惨禍」を繰り返さないとの決意から生まれた。「国際平和」、「武力行使禁止」は国連憲章と共通する。
 「現実を理想に近づける」ために、いま日本に求められているのは、「侵攻が浮き彫りにした現実を直視しつつ、それを「国際平和」という理想に少しでも近づけるための不断の営みだろう。」と述べている。

 憲法は「恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利」をうたう。戦後の制定過程で9条に「平和」の文言を加え、「生存権」(25条)を盛り込むよう訴えたのは衆院議員の鈴木義男だ。いずれも「人間の安全保障」に通じる理念だ。

 「平和は単に『戦争のない状態』ではなく、『人間らしく生存できる』という問題だ。」という古関彰一(独協大名誉教授)の言葉を引用し、「人道」の視点の意義を述べていた。

 同日の毎日新聞の「余禄」では、日本国憲法前文の意義について語られていた。

 憲法前文は、「専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたい。」という日本の決意を示している。「平和を愛する諸国民の公正と信義」への信頼をうたう。国連憲章とつながる理念である。

 成立過程から押しつけ憲法論が語られるが、平和主義や人権、民主など戦後秩序の核となる価値観が反映された憲法を、国民の多くは自然に受け入れてきた。「憲法が第二次世界大戦の悲惨な体験の上に誕生したことを忘れてはなるまい。」と記者は述べている。

 防衛力議論は結構だが、いくら軍事力を強化しても安全を保てない世界である。内向きの議論を脱して、日本の理念を海外に発信し、共感する仲間を増やすことが必要な時代ではないか。私もこの記事を書いた記者の考えに同感である。 

 ロシアのウクライナ侵攻という危機下における憲法の議論としては、青井未帆(学習院大法科大学院教授)の指摘が重要だ。(同日の毎日新聞記事)

 青井は、「ロシアのウクライナ侵攻というプーチン大統領の暴挙を許した原因は、ロシア国内の政治の機能不全と、国連の安全保障理事会など国際社会の機能不全だ。」と指摘し、「機能していない政府に権力を集中させることほど恐ろしいことはない。」という。
 「戦争は政治の権力統制の失敗だ。」とする青井は、「国民は冷静に政治が機能不全になっていないかに目を向けるべきだ。」と指摘している。

 また、憲法第9条については、「軍事を否定して、政府の安全保障政策に縛りをかけてきた。過去の歴史への反省が歯止めになっている。」とし、「9条の論理によって統制する力は失われてはいない。権力を制限する立憲主義の表れだといえる。」としたうえで、「9条に基づき平和について考えてきたことを軽んじてはならない。」と指摘している。

 

 憲法記念日の新聞を読んで、自分が大切だと感じだ論説をいくつか書き出してみた。「社説」では、論の最後に「憲法の平和主義をどう実践し、世界に発信するか。施行75年の節目を、理想追求の原点に立ち返って議論を深める機会にしたい。」と結んでいる。

 日本の憲法が世界に誇る「平和主義」を、これからいかに守っていくか。護憲か改憲か、様々な立場の方々の意見や議論に耳を傾け、一人の国民としてこれからの日本国憲法について考えていきたいと思う。

■調べたいこと

 日本国憲法 前文、第9条、第25条、国連憲章

 山下達郎さんの新曲「OPPRESSION BLUES」(弾圧のブルース)の一節が「余禄」で紹介されていた。
 「君が生まれた/街の通りは/見る影もない/今日もまた/銃声が聞こえる」。アフガニスタンやミャンマー、香港などの情勢に触発された作品という。

■きっかけ

 日本国憲法前文、平和主義 

■気になった人物名

 衆院議員 鈴木義男

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