心の知能指数 榎本博明 <第14回>

榎本博明「心の知能指数高めてあげて」
 毎日新聞朝刊(2021.8.23)「受験のトビラ/やる気レシピ」

『伸びる子どもは〇〇がすごい』の著者、榎本博明さんの記事が掲載されていました。

〇子どもの早期教育には懐疑的?
 榎本さんは、効果があっても意義があるとは思えないと言っています。
 早期教育の研究として2000年にノーベル賞を受賞した経済学者のジェームズ・ヘックマンの研究を取り上げ、幼児教育は一時的にIQを伸ばすが、効果は小学校中学年の段階ではなくなってしまうというのです。しかし、ヘックマンは幼児段階での教育は意味がないと言っているのではなく、乳幼児期に必要な事として「非認知能力」を身につけることが重要だと結論づけています。

〇非認知能力とは?
 自発性や忍耐力、コミュニケーション力などをさして「非認知応力」というそうです。心理学では心の知能指数、EQと呼んでいます。IQは遺伝で決定される要素が比較的大きいとされていますが、IQが人並でも社会に出て大成功する人がいます。その差を生むのがEQなんだそうです。

〇自発性を高めるには?
 自発性を高めるためには、乳幼児期に、その子の好奇心に任せて行動させることが大切だと榎本さんは言います。自然の中で自由に遊ばせ、友達と思う存分に遊ばせる。動物園や博物館、美術館に連れていく。そして興味を示したら背中を押してあげることが親の役目だと言います。親が行動を制約すると、自発性は養われにくくなるそうです。
 しかし、実際の日常においては、親が背中を押すことよりも、「○○はしてはダメ」と行動を制約することの方が多いような気がします。

〇ほめることの効果
 ほめ方にも注意が必要であり、むやみにほめると逆にマイナスになることもあるようです。記事では、ある2人の心理学者が行った実験が紹介されていました。10~12歳の子どもに簡単な知能テストのような課題をやってもらい、終了後、成績が良かったことを伝えるのですが、その際、3つのグループに分けてほめ方を変えています。
 1)「こんなに成績が良いのは頭が良い証拠だ。」
 2)「何も言わない。」
 3)「成績が良いのは一生懸命頑張ったからだ。」

 この後、次にやってもらう課題として確実にできる簡単なものと、難しいけれどもやりがいのあるものの2種類を示しどちらをやりたいか聞くそうです。
 結果は、1)の「頭の良さ」をほめられた子は7割弱が簡単な方を選び、3)の「頑張り」をほめられた子は9割が難しい方を選んでいます。ちなみに2)の「何も言われなかった子は半々だったそうです。

〇なぜほめ方で差が出るのか?
 「頭の良さ」をほめられると、自分はできる子だという期待を裏切りたくないという心理が働き「守り」に入ってしまう傾向があるそうです。一方、「頑張り」をほめられると、「もっと頑張ろう」という意欲が出るそうです。榎本さんは、「結果にとらわれすぎるのではなく、その過程をほめてあげることが重要です。」と述べられていました。
 なるほど!、と納得するとともに、普段は、ほめる事より注意しすぎることにより「萎縮」させてしまうことの方が多いのではと感じています。

 榎本さんは、最近の若者の”変化”に危機を感じていると記事に書かれていました。
 「指示待ち」
 「我慢できない」
 「感情をコントロールできない」

 榎本さんの指摘から、乳幼児期における教育の意義について考えさせられました。
 記事を読んで、乳幼児期は「非認知能力」=心の知能指数を高めるために重要な時期であり、そのために 子どもの好奇心に任せて行動させることが大切であるということを学びました。

【榎本博明さんの本】
 『読書をする子は○○がすごい』(日経BP)
 『ほめると子どもはダメになる』(新潮新書)

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