『忍者学大全』山田雄司編〈第31回〉
山田雄司編、三重大学国際忍者研究センター監修『忍者学大全』2023年、東京大学出版会
本書は、2012年10月から開始された三重大学伊賀連携フィールド「忍者・忍術学講座」で講義をされた講師の方々の論文が掲載されている。
フェイスブックの投稿を読んだことが、この本を知るきっかけとなった。中世に「惣国」を組織した集団(伊賀衆・甲賀衆など)の実像について研究したいと思っている。
この本の「はじめに」の中で編者の山田氏が述べられている言葉に大変興味を覚えた。
「自己を押し殺して何事にも耐え忍ぶ忍者には、過去、現在、未来を通して困難を生き抜くための技が凝縮されている」
第Ⅰ部 忍者の虚実
第一章 忍術書を読み解く
第二章 忍者文学から忍者映画まで
第三章 現代忍者
第Ⅱ部 忍者の科学と技術
第四章 医学・薬学・食
第五章 火術
第六章 武具
第七章 築城と忍者
第Ⅲ部 忍者の実像を探る
第八章 合戦戦略と忍者
第九章 伊賀者の成立と各地の忍び
第一〇章 公儀隠密・御庭番と江戸期の忍び
第一一章 幕末維新期の忍び
はじめに-忍者・忍術学とは何か
〇忍術書に書かれている内容
「忍者の心構え、侵入術、破壊術、武術、変装術、交際術、対話術、記憶術、伝達術、呪術」、「医学・薬学・食物・天文・気象・逓甲・火薬など広範囲にわたる知識」
〇忍術とは
総合的知識に基づくサバイバル術
当時の最先端の「科学」、多数の知恵や技術が記されている。
(宗教・兵法・心理学・生物学・物理学・医学・薬学・天文学・気象学・農学・工学・火術・武術等)
〇修験道と忍術
忍術の多くは修験道に由来している。
忍者は修験者に学んで多くの術を発展させた。(九字護身法、火術、薬草など)
〇忍者のもつ精神性
忍者には「正心」という心持ちが求められた。正心とは、仁義忠信を守ること。
「忍」(刃の下に心) どのような状況であっても動じずに耐え忍ぶ心=不動心
(心の上に刃) 悪念を切断して元の心に戻す
〇忍者研究の射程
「忍者の正体がわからないからこそ、これまで、歌舞伎、浮世絵、講談、小説、映画、漫画、ゲームなど様々な媒体で忍者を表現した作品が次々と創造されていった。」
〇研究の始まり 忍者・忍術に関しての学術的研究
2012年6月、三重県伊賀市、「三重大学伊賀連携フィールド」を設置
三重大学、上野商工会議所、伊賀市が連携して、伊賀地域の研究に取り組み、歴史・文学研究を中心として研究を開始。
〇研究の展開
三重大学人文学部「忍者・忍術学講座」
三重大学国際忍者研究センターYouTubeチャンネル
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