「知の巨人」ー立花隆さんを悼むー <第4回>

6月24日 朝 
ジャーナリストであり、ノンフィクション作家であり、また評論家として多彩な活動をされてこられた立花隆さんが、4月30日に亡くなられていたことを、新聞の朝刊で知る。

立花隆(本名:橘隆志)さんは、昭和60年代末頃からペンネームの立花隆の名前で記事を書いてこられた。並外れた読書家であり、「関心がある分野は最低でも10冊本を読むべきだ」が持論だったそうである。

私が最初に読んだ立花さんの本は、『ぼくはこんな本を読んできた』だった。この本を読んで、立花さんの旺盛な知的好奇心の成り立ちを知ることができた。この本と出会った20代の私は、立花さんの仕事部屋兼書庫として建設された通称猫ビルの写真を見てその多岐にわたる蔵書に目を見張った。

「調べて書くことが現代では最も重要な能力」との考えから、精力的に人と会いインタビューして書くことを徹底してこられた立花さんは、「調査」と「事実」を重視し続けてこられた。当時の私は、そんな立花さんの仕事に向かう姿勢に憧れていた。

立花さんの死は、最初にも触れたが6月24日に公表された。
その日の毎日新聞朝刊には、「分野を超え理系と文系、現在と未来といった垣根を軽々と飛び越える人だった」と記事が掲載されている。翌25日の朝日新聞朝刊では、「調査報道の道開いた巨人」と報じられていた。また記者のインタビューに答える形で佐藤優氏は、「生き方そのものを通じて哲学を探求する本当の意味での哲学者」と立花氏を称されていた。

今、私は立花さんの著書『知の旅は終わらない』を読んでいる。いつ買い求めたのか忘れたが、しばらく積読していた本である。久しぶりに立花さんの旺盛な「知」の世界に触れてみたいと思っていた。

ちなみにこの本は、2020年1月20日、第1刷発行の本である。立花さんは69歳頃、がんを患っていることを知る。その後、がんについも立花さんらしく精力的に調べ上げられてこられた。この本は、そんな闘病生活の中で書かれた本なのである。立花さんの自伝の書であり、最後に伝えたかったことの思いが込められた本なのだと感じながら、今この本を読み進めている。

立花さんに直接お会いすることは叶わなかったが、立花さんの著書を通してこれからも繋がっていきたい。

御冥福を心よりお祈り申し上げます。

【読んだ本】
立花隆『知の旅は終わらない 僕が3万冊を読み100冊を書いて考えてきたこと』文春新書1247、文芸春秋、2020年

【書棚にある立花隆の本】
立花隆・利根川進『精神と物質 分子生物学はどこまで生命の謎を解けるか』文芸春秋、1990年
立花隆『ぼくはこんな本を読んできた』文藝春秋、1995
立花隆『脳を鍛える 東大講義 人間の現在➀』新潮社、2000年
立花隆『立花隆・サイエンスレポート なになにそれは? 緊急取材・立花隆、「旧石器ねつ造」事件を追う』朝日新聞社、2001年

【これから読みたい立花隆の本】
『自分史の書き方』講談社学術文庫、2013
『思考の技術』中公新書ラクレ 2020
『知的ヒントの見つけ方』文春新書、2018
『サピエンスの未来』講談社現代新書、2021

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