「人・本・旅への転換」 大治朋子 〈第23回〉 

大治朋子(専門記者)火論「人・本・旅への転換」 毎日新聞(大阪本社)朝刊 2020/12/22

 

 少し前の記事だが、新年度の4月を終えてゴールデンウィークに入る今、大治朋子氏の記事について考えてみたいと思う。

 『スタートアップ・ネーション』ダン・セノール、シャウル・シンゲル(著) 

 2009年に話題になった本で、本のタイトルである『スタートアップ・ネーション』とは、「起業家精神に富む国」という意味である。(邦題は、『アップル、グーグル、マイクロソフトはなぜ、イスラエル企業を欲しがるのか?』宮本喜一(翻訳))

 記事によると、2018年にOECDが発表した統計では、イスラエルはベンチャーキャピタル投資額の対国内総生産(GDP)比率が米国に次いで世界第2位となっている。(日本は19位)

 イスラエル人は、「シンキング・アウトサイド・ザ・ボックス(Thinking outside the box=型にはまらない思考」」という言葉をよく口にするそうだ。

 起業に必須の柔軟な思考は、既成概念にとらわれない発想からくると言われている。

 コロナ禍に伴う「ニューノーマル(新常態)が問われる昨今、大治さんはイスラエルを例に取り上げ、コロナに伴う変化が型にはまらないアイデアを生み出し、「型にはまらない思考」を身につけるチャンスにできると指摘する。

 「型にはまらない思考」を身につける方法として大治さんは、出口治明の著書『還暦からの底力 歴史・人・旅に学ぶ生き方』を紹介されている。出口さんは、「メシ・風呂・寝る」の長時間労働を「人・本・旅」の生活へと見直すことが、生産性の向上や発想の転換につながると提唱しているという。

 3月は年度末、そして4月は年度初めであり、また様々な移動が重なる時期である。多忙な時期と環境の変化が重なる時期とも言える。新年度を迎えた今の時期は、大治さんが指摘されているように、自分の生活や仕事など様々な環境を変えるチャンスでもある。

 自分の思考が「シンキング・イン・ザ・ボックス(Thinking in the box=型にはまった思考」」になっていないか。ゴールデンウィークは、自分を振り返り、見つめなおす、絶好の機会だと思う。

 「型にはまった思考」に囚われ、多様な意見を受け入れられない不機嫌な頑固おやじにはなるまいと自問自答しはているが、そちらの方向に進みつつあるのではないかと自戒の念を抱いているのもまた事実!

 「型にはまらない思考」を身につけるため、休日を利用して、普段読まないジャンルの本を読んだり、旅に出て人と交流することで、出口さんが提唱されている「人・本・旅」の生活を習慣にしていきたい。

■次に読みたい本

出口治明氏『還暦からの底力 歴史・人・旅に学ぶ生き方』(講談社現代新書)
ダン・セノール・シャウル・シンゲル(著)、宮本喜一(翻訳)『アップル、グーグル、マイクロソフトはなぜ、イスラエル企業を欲しがるのか?』(ダイヤモンド社)

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